ケルダール法は、有機物の窒素の定量に用いられます。これは、試料を硫酸で分解⇒試料中の窒素を(NH4)2SO4に変換⇒NaOHを加えて蒸留⇒生じたNH3ガスを濃度既知のH2SO4溶液に捕集⇒未反応の過剰なH2SO4をNaOH標準溶液で滴定⇒NH3の量を算出、といった操作で窒素の含有量を求める方法です。
試料を分解して生じたNH3ガスを硫酸に捕集し、残った硫酸をNaOHで滴定する方法は、有機物の窒素に限らず、金属や排水などの中の様々な形態の窒素の定量にも広く用いられています。
<関係式>
Cao mol/LのH2SO4にA mmolのNH3を吸収させた溶液V mLを、Cbo mol/LのNaOH標準溶液で滴定することを考えます(滴下量T mL)。
Ka = [H+][SO42-]/[HSO4-]
Kn = [H+][NH3]/[NH4+]
[H+] = 10-pH(m)
[OH-] = Kw/[H+]
[Na+] = CboT/(V+T)
[SO42-] = CaoV/(V+T)/(1+[H+]/Ka)
[HSO4-] = [H+][SO42-]/Ka
[HN3] = A/(V+T)/(1+[H+]/Kn)
[NH4+] = [H+][HN3]/Kn
Q = [H+]-[OH-]+[Na+]-2[SO42-]-[HSO4-]+[NH4+]
<滴定曲線>
A (= 0, 0.5, 1.0, 1.5) mmolのNH3を吸収した0.025 mol/LのH2SO4, 50mLを0.05 mol/LのNaOHで滴定したときの滴定曲線を図-1に示します。
滴定曲線を見ると明らかですが、中和点のpHはおよそ6前後です。適切な指示薬はメチルレッド(pH変色域:4.8~6.0)、ブロモチモールパープル(5.2~6.8)、ブロモチモールブルー(6.0~7.6)等です。
吸収されたNH3の物質量Aは次の反応式から求めることができます。
2NH3 + H2SO4→ (NH4)2SO4
H2SO4 + 2NaOH → Na2SO4 + 2H2O
・NH3の吸収に用いるH2SO4溶液をNaOH標準溶液で滴定したときの滴下量To (mL)とすると、このH2SO4の物質量Ro(mol)は、
Ro = (CboTo/1000)/2
・NH3を吸収した後のH2SO4溶液をNaOH標準溶液で滴定したときの滴下量T1 (mL)とすると、未反応のH2SO4の物質量R1(mol)は、
R1 = (CboT1/1000)/2
・NH3と反応したH2SO4の物質量、つまり生成した(NH4)2SO4の物質量R2 (mol)は、
R2 = Ro-R1 = (Cbo(To-T1)/1000)/2
・したがって、吸収されたNH3の物質量A (mmol)は、
A(mmol) = 2R2×1000 = Cbo(To-T1)
あるいは、別法として、中和の関係式aCV/1000=bC’V’/1000を用いて求めます。
・元の硫酸(2価)の物質量Roは濃度CboのNaOH(1価)の滴下量Toから求めることができる。
2Ro = CboTo/1000
・また、元の硫酸(2価)はNH3(1価)およびNaOH(1価)ですべて中和したと考えることができるので、
2Ro = A/1000 + CboT1/1000
・したがって、
CboTo/1000 = A/1000+ CboT1/1000
∴ A(mmol) = Cbo(To-T1)
<エクセルシート>
エクセルシートの抜粋を図-2に示します。
●二分法の表(A14:L45)の作成方法は従来通りです。
http://ftacg.livedoor.blog/archives/16039204.html
●データテーブル(N3:R155)は、NH3の吸収量(A)と滴下量(T)を変数として行と列で作成しました。これは、滴定曲線をNH3の吸収量別に複数本描くためです。操作手順は次の通りです。
(1) Tの値を入れる。
・0.5 mLきざみでT=0~75 mL(N5:N155)
(2) Aの値を入れる。
・A=0, 0.5, 1.0, 1.5 (mmol)(O4:R4)
(3) 二分法の表で求めたpHをコピーする。
・N4 =E11
(4) データテーブルの範囲を指定する。(N4:R155)
(5) データテーブルを作成する。
・メニューバー:「データ」
・ツールバー:「What-If分析」⇒「データテーブル」⇒「データテーブル」ダイアログが出る⇒「行の代入セル」に”E7”を指定 ⇒「列の代入セル」に”E10”を指定⇒「OK」
(6) 凡例を入れる(O3:R3)
(7) 散布図を作成する。
・O3:R3およびN5:R155を指定して、散布図を作成する。
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