リン酸の滴定を例として、滴定溶液に含まれる化学種の濃度が滴定の進行につれてどのように変化するかについて調べます。
試料溶液のリン酸(H3A)のモル濃度をCao mol/L、試料体積をV mL、滴定剤の水酸化ナトリウムのモル濃度をCbo mol/L、滴下量をT mLとします。
また、リン酸の電離定数(酸解離定数)をKa1, Ka2, Ka3, 水のイオン積をKwとします。
リン酸に関する化学種は、H3PO4, H2PO4-, HPO42-,PO43-の4種類です。それらを、[H3A], [H2A-], [HA2-], [A3-]で表すと、次の関係式が得られます。
[A3-] = CaoV/(V+T)/(1+[H+]/Ka3+[H+]2/(Ka3Ka2)+[H+]3/(Ka3Ka2Ka1))
[HA2-]= [H+][A3-]/Ka3
[H2A-]= [H+][HA2-]/Ka2
[H3A] = [H+][H2A-]/Ka1
二分法で滴定曲線を求める際、二分法の表*の最後の行は、pHのみならずH+, OH-, Na+,PO43-, HPO42-, H2PO4-,H3PO4の濃度も与えています。したがって、データテーブル機能を用いて、Tの各値に対する[H+], [PO43-],[HPO42-], [H2PO4-], [H3PO4]および全リン酸濃度の値を求めることができます。
*リン酸の滴定曲線の求め方は、下記のブログを参照願います。
http://ftacg.livedoor.blog/archives/16333904.html
<滴定曲線および化学種濃度>
0.01 mol/Lリン酸10 mLを0.01mol/LのNaOHで滴定したときの滴定曲線および化学種濃度の分布を図-1, 図-2に示します(図-1中の化学種濃度は対数表示)。
(図1)
(図2)
図-1, -2から言えることは、
・滴定開始前:[H3PO4]+[H2PO4-]が主成分、[H2PO4-]≒[H+]
・滴定開始から第1中和点まで:[H3PO4]が急減
・第1中和点:[H2PO4-]が主成分、[H3PO4]≒[HPO42-]
・第1中和点から第2中和点まで:[H2PO4-]が急減、[HPO42-]が急増
・第2中和点:[HPO42-]が主成分、[H2PO4-]≒[PO43-]
・第2中和点以降:[HPO42-]が漸減、[PO43-]が漸増
<エクセルシート>
二分法の表を図-3(A列~L列)に示します。二分法表の最後の行は、T値に対するH+, OH-, Na+, PO43-,HPO42-, H2PO4-, H3PO4の濃度を与えています。
データテーブル機能を用いてT値を変化させたときの各化学種濃度の値が図-3のN列~U列に示されています。
(図-3)



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