前回(2019/05/12)は、AgClのアンモニア水に対する溶解の様子を調べました。今回はそれに引き続き、AgBr, AgIのアンモニア水に対する溶解について調べ、AgClの場合と比較します。またAgIについて、アンモニア水とチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)溶液に対する溶解性の違いを比較します。

 

1.ハロゲン化銀のアンモニア水に対する溶解性の差

用いた平衡定数は、AgBrについて、

AgBrの溶解度積:pKsp = 12.3

銀のブロモ錯体の生成定数:logβx1=4.2, logβx2=7.1, logβx3=8.0, logβx4=8.9

AgIについて、

AgIの溶解度積:pKsp = 16.1

銀のヨード錯体の生成定数:logβx1=6.6, logβx2=11.7, logβx3=13.8, logβx4=14.4

その他の条件、および解析方法は前回(2019/05/12)と同じです。

 

結果を-1, -2, -3に示します。臭化銀はアンモニアに可溶ですが、塩化銀に比べると遥かに溶けにくいことが分かります。また、ヨウ化銀はアンモニアを加えてもほとんど溶けません。

 

-1 ハロゲン化銀の溶解度(NH3に対する)

2019-05-19-fig1
 

-2 ハロゲン化銀の沈殿率(NH3による溶解)

2019-05-19-fig2
 

-3 ヨウ化銀の沈殿率(NH3添加) [拡大図]

2019-05-19-fig3
 

 

2.ヨウ化銀のチオ硫酸ナトリウムに対する溶解性

用いた平衡定数は、

チオ硫酸の酸解離定数:pK1 = 0.6 , pK2 = 1.6

銀のチオスルファト錯体の生成定数:logβt1=8.8, logβt2=13.5,

その他の条件、および解析方法は前回(2019/05/12)と同じです。

 

結果を-4, -5に示します。ヨウ化銀はアンモニアを添加してもほとんど溶けませんでした。しかし、チオ硫酸ナトリウムにはよく溶けることが分かります。また、このとき溶液中の銀は大部分がAg(S2O3)2^-3の形で存在しています。

 

-4 ヨウ化銀の沈殿率(Na2S2O3添加)

2019-05-19-fig4
 

-5 AgINa2S2O3を添加したときの化学種分布

 2019-05-19-fig5