Fe3+にアンモニア水を加えたときの反応についてエクセルのソルバー機能を用いて定量的に解析します。
具体的には、濃度Cfe mol/Lの硝酸鉄(III)溶液に、濃度がCnh mol/Lとなるようにアンモニアを添加することを考えます。アンモニアの添加による溶液の体積変化は無視します。
また、Fe(OH)3の溶解度積をpKsp = 38.8
アンモニウムイオンの酸解離定数をpKn = 9.37
鉄(III)のヒドロキソ錯体の生成定数を、
logβo1=11.8, logβo2=23.4, logβo3=39.4, logβo4=34.4
とし、これ以外の平衡は無視します*。活量係数は1とします(25℃)。
*実際には、種々の多核錯体の生成が知られているが、ここでは無視した。
Cfe = 0.1 mol/Lとし、Cnhの値を変化させたときの鉄(III)の溶解度および化学種濃度をエクセルのソルバー機能を用いて求めます。
●ソルバーのパラメータ設定
・目的セル:電荷バランス、Q =0
・変数セル:pH およびpNH3
・制約条件:アンモニアの物質バランス、R = Cnh-[NH3’] = 0
●特に、アンモニアを加えないときのパラメータ設定は、
・目的セル:電荷バランスQ =0
・変数セル:pH
●[Fe]の計算式
・[Fe] = Ksp/[OH]^3
結果は次の通りです。
図-1(アンモニア濃度に対する溶解度・化学種濃度)
図-2(溶解度・化学種濃度のpH依存性)
図-3(溶解度および沈殿率)

図-4(エクセルシート(計算式の例))
計算上、0.1 mol/L硝酸鉄(III)溶液は、アンモニアを加えなくても部分的にFe(OH)3の沈殿が生成しています(6.8%)*。
*実際の硝酸鉄(III)は可溶性である。計算結果がこのようになったのはNO3-錯体、多核錯体の生成や活量係数補正を無視したためと思われる。また、硝酸鉄(III)溶液を加熱すると加水分解が進行して沈殿が生成することが知られている。
アンモニア濃度0.34 mol/L (pH 8.5)付近で溶解度は最小(S=6.5×10^-10 mol/L)となります。さらにアンモニアを過剰に加えると、溶解度は増加していきます。
鉄(III)の化学種について言うと、最初はFe^3+が優勢ですが、当量点(Cnh=0.3mol/L(pH 5.0))付近ではFe(OH)2^+が優勢となり、当量点を過ぎて溶解度が最小となるときはFe(OH)3が主となります。さらにアンモニアを過剰に加えると、Fe(OH)4^-が優勢となります。



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