前回(2019/08/25)BaCl2溶液にNa2CO3を加えてBaCO3が沈殿する様子を調べましたが、今回はBaCO3に塩酸を加えてBaCO3が溶解する様子を調べます。

 

BaCO3 (Cba=0.01 mol)に水を加えて1 Lにした懸濁液に塩酸を加えることを考えます。塩酸の添加濃度をCy mol/Lとします。塩酸の添加や沈殿物の減少・消滅による溶液の体積変化はないものとします。また活量補正はしません。

 

用いた平衡定数は前回(2019/08/25)の通りです。

 

<関係式>

●物質バランス

[Ba’] = [Ba][BaOH][BaCO3] = [Ba](1+βo[OH]+βc[CO3]) =[Ba]α

[CO3’] = [CO3][HCO3][CO2][BaCO3]

 

溶液中には固体のBaCO3から溶解した化学種のみしか存在しないので、

[Ba’] = [CO3’]

の関係が成立します。

この関係式は沈殿の有無にかかわらず常に成立します。

 

●電荷バランス

Q = [H][OH]2[Ba][BaOH][HCO3]2[CO3][Cl] = 0

 

各化学種の濃度

[H] = 10^-14/[OH]

[OH] =10^-pOH

[Ba] = Ksp/[OH]^2  …(沈殿ありの場合)

[Ba] = Cba/α   …(沈殿なしの場合)

[BaOH] =βo[Ba][OH]

[BaCO3] = βc[Ba][CO3]

[CO3] = 10^-pCO3

[HCO3] = [CO3][H]/K2

[CO2] = [HCO3][H]/K1

[Cl] = Cy

 

<エクセルの取り扱い>

ソルバーのパラメータ

・目的セル:電荷バランス、Q = 0

・変数セル:pOH, pCO3

・制約条件:R =[Ba’][CO3’] = 0

[Ba]= Ksp/[CO3]  …(沈殿ありの場合)

[Ba]= Cba/α   …(沈殿なしの場合)

 

沈殿の生成・消滅の境界におけるパラメータ

・目的セル:電荷バランスQ = 0

・変数セル:pOH, pCO3 およびCy

・制約条件:R = 0, および [Ba’] = 0.01

[Ba]の計算式:[Ba]=Ksp/[CO3]

 

<結果>

●化学種の分布

HClの添加とともにBaCO3の沈殿が溶解して溶液中のBa2+濃度が増加することがわかります。


-1(化学種分布)

2019-09-01-fig1
 

 

●沈殿率

HClの添加濃度が0.015 mol/L付近でBaCO3の沈殿は消滅します。


-2BaCO3の沈殿率)
2019-09-01-fig2
  

pH

HClの添加の初期に急激なpHの下降があり、やがてなだらかになるが、沈殿消滅後、当量点(HClの添加濃度0.02 mol/L)でふたたび急激なpHの下降がみられます。

-3pH

2019-09-01-fig3
 

 

●データ(抜粋)

-4(データ(抜粋)

 2019-09-01-fig4