平衡定数がイオン強度に影響されることはこれまでも述べてきました(2019-10-13)。今回は、水酸化アルミニウムに関して溶解度積、錯生成定数および溶解度に及ぼすイオン強度の影響を調べます。
水酸化アルミニウムの溶解度積、錯生成定数、水のイオン積に関する熱力学的平衡定数(Kspo, βno, Kwo)、濃度平衡定数(Ksp, βn, Kw)、活量係数(γ)の関係は次式のようになります(2019-10-20)。
Kspo = KspγAlγOH^3
Ksp = [Al][OH]^3= Kspo/(γAlγOH^3)
βno = βnγAl(OH)n/(γAlγOH^n)
βn = [Al(OH)n]/([Al][OH]^n) = βno/(γAl(OH)n/(γAlγOH^n))
Kwo = KwγHγOH
Kw = [H][OH] = Kwo/(γHγOH)
また拡張デバイ-ヒュッケル式が成立するとき、活量係数(γ)とイオン強度(μ)の間には次式が成立します。
γ = -0.51z^2√μ/(1+3.3a√μ)
ここで、zはイオンの電荷、aは水和イオンの直径(nm)
H+ :イオン直径 a=0.90 nm
OH- :イオン直径 a=0.35 nm
Al3+ :イオン直径 a=0.90 nm
AlOH2+, Al(OH)2+, Al(OH)3(aq), Al(OH)4-の水和イオン直径はAl3+と同等(a=0.90 nm)とします。
濃度平衡定数は、熱力学的平衡定数と活量係数から求めることができます。また、拡張デバイ-ヒュッケル式が成立するとき、活量係数はイオン強度と水和イオン直径から求めることができます。
<濃度平衡定数>
イオン強度の値を与えて各イオンの活量係数を求め、熱力学的平衡定数と活量係数から各イオン強度における濃度平衡定数を求めます。
結果を図-1~3に示します。
図-1
図-2
図-3
<溶解度>
上述により濃度平衡定数が分かるので、[Ho]を水素イオンの活量とすると、各化学種の濃度は次式で示されます。
[H]= [Ho]/γH
[OH] = Kw/[H]
[Al] = Ksp/[OH]^3
[AlOH] = β1[Al][OH]
[Al(OH)2] = β2[Al][OH]^2
[Al(OH)3(aq)] = β3[Al][OH]^3
[Al(OH)4] = β4[Al][OH]^4
したがって、
S = [Al]+[AlOH]+[Al(OH)2]+[Al(OH)3(aq)]+[Al(OH)4]
したがって、熱力学的平衡定数を用いて、あるイオン強度におけるAl(OH)3の溶解度Sを求めることができます。
無定形Al(OH)3に関して、μ=0, 0.1, 0.3のときのpH(=-log[Ho])とSの関係を図-4~6に示します。μ=0の場合については実際にはありえない仮想的な溶解度です。
図-4
図-5
図-6






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