前回(2020/05/10)は、ソルバーを用いてカルシウムのEDTA滴定における滴定曲線を描きました。今回はソルバーを用いず、Ca2+の加水分解(CaOH+の生成)を考慮した関係式を求めて滴定曲線を描きます。
平衡定数は前回の通りです(μ=0.1)。
・EDTA(H4Y)の酸解離定数:
K1= [H][H3Y]/[H4Y] pK1 = 2.00
K2= [H][H2Y]/[H3Y] pK2 = 2.69
K3= [H][HY]/[H2Y] pK3 = 6.13
K4= [H][Y]/[HY] pK4 = 10.37
・Ca-EDTA錯体の生成定数:
Kf= [CaY]/([Ca][Y]) logKf = 10.7
・Ca-OH錯体の生成定数:
βo = [CaOH]/([Ca][OH]), logβo =1.1
・水のイオン積: pKw = 13.8
関係式は、
Mn+ + Y4-⇄ MYn-4
Kf = [MY]/([M][Y])
[MY] = Kf[M][Y]
Kf’’ = [MY]/([M’][Y’]) = Kf(fmfy) …①
[MY] = Kf’’[M’][Y’] …②
Cm = CmoVm/(V+T) …③
Cy = CyoT/(V+T) …④
Cm = ([M]+[MOH])+[MY] = [M’]+[MY] …⑤
Cy =([Y]+[HY]+[H2Y]+[H3Y]+[H4Y])+[MY] = [Y’]+[MY] …⑥
fm = [Ca]/[Ca’] = 1/(1+βo[OH]) =1/(1+βoKw/[H])
fy = [Y]/[Y’] = 1/(1+[H]/K4+[H]2/(K4K3)+[H]3/(K4K3K2)+[H]4/(K4K3K2K1))
⑤式および②式から
Cm =([M]+[MOH])+[MY] = [M’]+ Kf’’[M’][Y’] = [M’](1+Kf’’[Y’])
[M’] = Cm/(1+Kf’’[Y’]) …⑦
⑥式および②式から
Cy =([Y]+[HY]+[H2Y]+[H3Y]+[H4Y])+[MY] = [Y’]+Kf’’[M’][Y’]
= [Y’](1+Kf’’[M’])
[Y’] = Cy/(1+Kf’’[M’]) …⑧
⑧式を⑦式に代入して、
[M’] = Cm/(1+Kf’’Cy/(1+Kf’’[M’]))
Cm = [M’](1+Kf’’Cy/(1+Kf’’[M’]))
Cm(1+Kf’’[M’]) = [M’](1+Kf’’[M’]+Kf’’Cy)
Cm+CmKf’’[M’] = [M’]+Kf’’[M’]2+Kf’’Cy[M’]
[M’]について整理すると、
Kf’’[M’]^2+(1+Kf’’Cy-CmKf’’)[M’]-Cm = 0
[M’]^2+(Cy-Cm+1/Kf’’)[M’]-Cm/Kf’' = 0 …⑨
したがって、Cmo mol/LのCa2+イオンを含む溶液Vm mLにpH緩衝液を加えてV mLにしたあと、Cyomol/LのEDTAで滴定するとき(滴下量:T mL)、pHを与えると、fm, fyが決まり、Kf’’が分かるので、このKf’’を用いて③, ④, ⑨式から[M’]を求め、滴定曲線(T-pM’)を描くことができます。(*1)
(*1) ⑨式の求め方は「EDTA滴定の基礎」(2020/05/03)の「T→pM法」⑪式(下式)の求め方と全くおなじであり、[M]を[M’]に、Kf’をKf’’に置き換えれば、式の形もおなじである。
[M]2+(Cy-Cm+1/Kf’)[M]-Cm/Kf’ = 0 …⑪
Cmo=0.002 mol/L, Vm=50 mL, V=60 mL, Cyo=0.01mol/L, pH=13.0のときの、滴定曲線を図-1にしまします。
図-1
また、前回ソルバーで求めた滴定曲線との比較を図-2に示します。当然ですが、Ca(OH)2の沈殿生成による影響を除いて、両者は良く一致しています。
図-2
pHを変化させたときの滴定曲線の様子を図-3に示します。pHの増加とともに、滴定曲線のジャンプの程度が大きくなることが分かります(最大はpH11のとき)。また、Ca-EDTA錯体の条件生成定数(Kf’’)とpHの関係を図-4に示します。(*2)
(*2)図-3, 図-4は図-1に示したEXCELシートから、What-If分析のデータテーブル機能を用いて作成した。
図-3
図-4




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